TOP > ビジネスサポート(選ばれる理由) > 半歩先のベーカリー市場を創るには? 割田 健一氏

“この人に食べてもらいたいパン”という想いがなければ作れない

── 今説明いただいた6種類のパンを試食しましたが、パンと副素材との合わせ方が絶妙で、割田シェフならではの味を感じます。パンのアイテムはどのように決めるのですか。

『ブーランジェリーレカン』シェフ 割田 健一氏

割田 ブーランジェリーレカンの場合、売れるものだけの観点でパンを作るということはありません。レストランのお客様からのリクエストを感じとり、入念な打ち合わせのもと、リクエストに応えます。そしてそれを楽しんで試行錯誤を続けています。希望されるパンのアイデアをお客様と確認する段階において、「こんなパンであれば、このお客様に喜んでいただけるのではないか?」というイメージが私の中で湧き上がり、それを形にしたパンが店頭に並ぶと評判が良く、定番商品となってくのが面白いと思います。

ひの そういうパンの反響が大きくリピート率が高いのは、新しさがオンリーワンとして認められているからです。他で買えないからという理由もありますが、パン好きとしてはそれを発見したら皆に教えたい、発信したいという流れになり広がります。そうしたSNS効果はすごいですから。

中井 消費者調査でわかったことですが、消費者が求めているパンというのは「自分のためにカスタマイズされたもの」で、正に個人というキーワードです。こうした背景から、例えば大手カフェチェーンなどでも消費者が思い思いのコーヒーメニューをカスタマイズして楽しむという習慣が根付いています。より自分の好みに近いオンリーワンのメニューになることでリピーターになるのです。今パンメーカーの発想も同様で、シェフの考える“ストライク”を目指しているようです。それは決して万人向けではないですが、ハマる人には強い共感を得られているということです。少数派だから我慢しなければならない、というよりはその人達が365日楽しんで買えるような発想が大事です。

ひの 確かに割田シェフのパンは、“こういうパンが食べたかった”という潜在意識のニーズをつかんでいると思います。銀座レカンのベーカリーができる前から、割田シェフのパンが食べたくてレストランに行っていましたが、あれほどおいしくて個性的なパンをメニューの一つとして成立させていたのは、レストランとして画期的だったと思います。

パンコーディネーター ひのようこ氏

割田 店ではシンプルなパンを主体にしているのですが、そこから食べ物の組み合わせの面白さを、フード・ペアリング(*1)という手法ですすめることで、作る側の楽しさも広げられるようにしています。そういう発想だと、意外な食材が挙がったりする驚きがあります。また、普段から使用している食材でも今までにない加工をしてみると新たな発見があり、注目し直すということもあり、またそこからオンリーワンの商品が生まれることがあります。まずは身の回りにある食材からの再発見・再検証をすることからはじめるといいと思います。いつもの商品を使いつつ“自分の色”を出すことが重要なのです。まず自分らしさを出すにはどうすべきか、ということを何回も試作を繰り返し作り出します。それが「半歩先をいく」ことにつながるのではないでしょうか。まずは安定感のある定番商品の充実を図り、リピートしてくださるお客様を増やすことが大切だと思います。

(*1)フード・ペアリングとは:食材の香りの働きに着目した考え方。2004年に、ベルギー・ブルージュの研究機関Sense For Tasteが中心となり、1000種類以上の食材を分子レベルで分析しています。
ピュラトスはSense For Tasteとパートナーシップを結び、フード・ペアリングの研究を行い、サワー種製品といろいろな食材のベストな組み合わせをご紹介することで、現状に満足せずに進化しつづけるお客様の商品開発をサポートします。詳しくはピュラトスジャパンまでお問い合わせください。

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